英との記念日、せめてXディにはしないように、口滑らせないように・・・。
そう思いながらしか過ごせなかった。
英と久しぶりに会っても、浮かぶのは副会長さんのことばかり。
気付けば、副会長さんとの話ばかりしたくなる自分がいたわ。
少し前。
球技大会のとき、生徒会と英のクラスが少しもめて…
それ以来、英は生徒会を少し避けてる気がしたの。
生徒会って、一般の生徒とは遠い組織だよな。そう英に言われて、私はなんて返していいのかわからなかった。
ただ、そこにはなんとなく「副会長には敵わない」というニュアンスがこめられているように感じたんだけど…。
経験が違うっていうのかな。
副会長さんは、仕事においてホントに凄いの。
怒涛の量をこなし、常に生徒のためにって言うのを考えている。
それだけではなくて。
自分のことも、しっかり考えてるの。
避難をなるべく浴びないように、とかね。
自立って言う言葉がこれまで似合う人、学生ではなかなかいないと思ったわ。
きっと、英もそれには敵わないと感じてるんだと思うの。
私が副会長さんの話をするたびに、英の顔が少し曇る。
それを避けるために会長の名前を出しちゃったりして。
もしかしたらそのうち、会長にとばっちりがいくかもしれないんだけれど。
会長ならいっか、なんて思っちゃう。
今はまだ、抑えきれるけど。
いつ、副会長さんへの想いが抑えきれなくなるのかー…わからないの。
ここまで副会長さんを好きになった理由のひとつは、英の勉強量。
夏休みに入ってから、ずーっと塾にこもりっぱなしで全然あってなかったの。
でも、その前に言われていたわ。
大切な人を養うためには、今頑張らなきゃいけない。だけど、勉強ばかりしてると卯響がどこかに行ってしまいそうで怖い。どこにも行かないから心配しないで。
私はそう返したの。
そのときは、ほんとにそう思ったのよ。
英のもとを離れることなんて無い。そう、思っていたの…。
副会長さんは、私のことを恋愛対象としてはそんなに意識してないと思うの。
私の片思い。
自分からはほとんど何も話し出してくれない副会長さん。
謎に包まれた、彼のことが知りたい。
はじめは、そんな好奇心の方が大きかったわ。
だけど。。。
困ったときの苦笑いも、ちょっぴりおっちょこちょいなところも、すっごく優しいところも、責任感の強いところも、面倒見のいいところも、古風なところも、可愛いところも、・・・
全部、スキ。
もっと知りたい。
どんどん、惹かれていく自分に気付いたときには、もう抜け出すことが難しくなっちゃってたの。
今すぐ、英と別れるとかは出来ないけれど、こんな気持ちで英と付き合ってるのも申し訳なくって・・・。
勉強を頑張る英を、裏切ってる。
そんな自分が嫌で嫌で仕方が無いのに、副会長さんと過ごす生徒会室は、とっても楽しいと感じちゃう。
「卯響、彼氏より副会長のほうがスキでしょ?」
顧問の先生の言葉に、首を縦に振ることは出来ても横に振ることは出来なかった。
副会長さんの横顔がカッコよくて、眺めていたとき。
「実験用モルモットの気持ちがわかる」
なんて言われちゃったっけ。
「僕は玩具なの…?」
寂しそうな声に、居た堪れない気持ちになったわ。
そんなことも思わせてしまったことが辛かった。
スキだって言う気持ちを伝えたくなったけど、きっとそれは副会長さんを困らせてしまうだけ。
責任感と、優しさをいっぱいもってる人なんだもの。
すぐに笑い出しちゃったりして目をそらせてた副会長さんだったけど、最近は慣れてきたみたい。
じっと見てたら、それに気付いて私のほうも見てくれる副会長さん。
その眼は時々、金縛りを起こさせる。
メールは苦手なのに、返事に困るようなメールを送ってもなんとか返信してくれる優しい副会長さん。
相変わらず、副会長さんからメールをくれることはないけど、返事が来るだけで幸せなのv
メールを返してくれるのは、優しい人だから。
誰にでも、優しい人なの。
解かってるわ。
だけど…期待してしまうの。
寂しそうに「玩具なの?」と聞いたのは、私がどう思ってるかが気になるからですか?
それとも、友達扱いをして欲しいと思っているからですか?
これ以上期待させないで。
本当に、英にさよならを言いたくなってしまうから・・・っ


