初めて会長さんの口から聞いた、"嫉妬"の言葉。
正確には口から出たんじゃなくてメールでくれたんだけど、そんな差は問題じゃないでしょ?
ずっと寂しかった。
他の男といても、何も言わない会長さん。
そうじゃないとはわかっているものの、時々どうでもいいのかなぁなんて考えたりして。
会長さんは欲がない。
だからいつも謙虚で、いつも素敵。
私と出会ってから、手に入れたいとか思ったことはないんじゃないかなぁ。
"ただそばにいれば幸せ"
物理的にではなくて。心が近くにあれば、それ以上は望まないらしい。
すごいなぁって思って。すごく素敵。
"愛"の良さが浮き彫りになった気がしたの。
愛されたことのない人は、愛し方を知らない。
だから、誰かが始めに愛さなければいけない。
私は母に愛されて育ったから、人を愛せる人間だと思っていたけれど。会長さんは私以上に愛されて育ってきたような気がしてしまった。
恋と愛の違いについて、ある友人に尋ねたときに
「見返りを求めるのが恋で求めないのが愛」
と言い、それを別の友人に話したら
「見返りは少なからず求めるものだ」
と言った。
私は、そのときすでに見返りを求めない人を知っていたから納得いかなかった。信也は、優しさと愛に溢れた人だったから。
また、信也とは違う形の愛と優しさだけれど。会長さんも見返りを求めない人なんだと思う。少なくとも、私より遥かに求めていないし、求めている自分に気がついたときは止めようとしている。
「見返りを求めないのが愛」
とすると、私はまだ誰も愛せていないのかもしれない。
でも、これだけは知ってる。
誰かをすごくすごく大切に思って、気にかける気持ちが愛だってこと。
だから愛という感情が好き。
それがすべてを成り立たせていくから。
沢山の愛を捧げる相手は一人だけれど、ささやかな愛に溢れて、沢山の人や物に注げる人になりたい。
会長さんから素敵な愛を貰う私は、まだまだもっと、素敵な愛を捧げる人になれる気がする。


